小児整形外科部門

兵庫県立のじぎく療育センターは2008年に閉院されました。その際兵庫県立リハビリテーション中央病院にて、その機能の一部を引き継ぐ形で小児整形外科疾患の診療を開始し、現在に至っています。小児整形外科では、単純に成人整形外科の縮小版診療を行っている訳ではありません。成長発育していく途上ゆえに、成人には存在しない解剖学的構造や疾患があるため、成人整形外科とは異なった専門的な治療体系が必要とされる領域です。昨今の少子化の影響もあり全国的にみても、小児整形外科は整形外科の中の一つの部門ですが、骨折などの外傷を除いて限られた施設でその診療が行われています。

当院の小児整形外科にて対応している疾患としては、先天性内反足(図1)、筋性斜頚(図2)、発育性股関節脱臼(図3)(これらはかつて小児整形外科の三大疾患と言われていました)などの代表的小児整形外科疾患以外にも、多合指症(図4)や母指形成不全(図5)などの上肢の先天異常、先天性(生まれつき)または後天性(生後に発生した外傷や疾病など)の原因による四肢変形や短縮、まれな発生頻度ながら多くの種類の疾患がある骨系統疾患などに対しての手術的治療を手がけています。これら小児整形外科対象疾患のうち、四肢変形や短縮、骨系統疾患などに対しての創外固定・骨延長を用いた治療については、当院の「整形外科のページ」にあります、創外固定治療を受ける患者さんへの手引き書PDF(PDF:738KB)(PDFファイルで誰でも見ることができます)を参照してください。手術的治療の術後においては専門的なリハビリテーションが必要となりますが、リハビリテーション病院である当院の強みを発揮して、十分なリハビリテーションを行い早期の機能獲得に努めております。

現在、当院の小児整形外科診療は常勤医1名が、一部の成人整形外科疾患診療と兼務して行っております。また、非常勤医師2名が外来診療を分担しており、月2回の火曜日(診察日はお問い合わせください)と、毎週水曜日の午前中に診療を行っています。当院は救急病院ではないため、急を要する外傷性疾患には対応できておりませんが、上記のごとく充実したリハビリテーション設備やスタッフを特色とした診療を行っております。

図1 先天性内反足
図1 先天性内反足(両側例)

先天性内反足(両側例)の初診時外観像(左)、徒手(用手)矯正とギプスでの初期治療状況(中)、治療後正しい形になった足部(右)、この後も再発を防ぐために装具での治療を継続します。

図2 左筋性斜頸
図2 左筋性斜頸

左筋性斜頸の頸部肢位(左)では左に首をかしげた状態、左頸部をみると固いしこりのような病変部が触れる(右)。年齢が高いと自然治癒は見込めず、手術的に筋切りを行います。

図3 発育性股関節脱臼
図3 発育性股関節脱臼

発育性股関節脱臼のX線画像(左)で矢印に示す右股関節に脱臼がある。脱臼していない反対側に比べると骨頭骨端の出現も遅れている。治療用の装具を装着し(右)、脱臼の整復が得られました。

図4 母指多指症
図4 母指多指症

母指多指症の外観像(左)で母指基部関節から重複しているタイプ、X線画像(中)、余剰母指の切除形成術後1年の外観(右)で、日常生活に支障はありません。

図5 母指形成不全の外観像
図5 母指形成不全

母指形成不全の外観像(左)で矢印のごとく左母指欠損を認める。示指の母指化手術(示指を母指の位置に移植する手術)を行って半年経過した外観(中)、術後の左手の使用状況(右)