理事長からのメッセージ

職員へのメッセージ 「宵越しの土地を持たない」(平成30年9月)

 事業団は、たくさんの事業を県内各地で展開していますが、ほとんど土地を持っていません。現在、私たちが持っているのは、赤穂市有年の土地だけです。
 この身軽さは、本当に負け惜しみでなく、これからの私たちの事業展開を考えるとき、大きなプラスの要素として機能するはずです。

 人口増加の時代は、開発圧力が強く、地価も上昇するので、即効的で収益性の高い空間利用が選択されがちです。
 結果として、公園、緑地などのすぐに「もうからない」都市空間は極小化され、福祉の施設も山の中につくられてきました。
 人口減少・低成長の時代は、こうした開発圧力が弱まるので、「まちづくり」にも、様々な可能性が拡がります。
 空き地、空き屋を活用し、人口が憩い集える空間を創り出すことも可能になります。
 人々は、これまでの「まちづくり」の発想を卒業し、新しい価値観を持って、新しい「まちづくり」に臨むべきだと思います。
 同時に人々は、土地や物を「持つ」ことよりも「使う」ことに魅力を感じてきています。
 土地を持つことが、目眩く財産を生んできた時代は過去のこととなり、人は車もシェアする時代となりつつあります。
 人々はドリルを買うのではなく、ドリルが作ってくれる「穴」を買う時代を迎えています。
 土地を持つことの不自由さから、もともと解放されている、私たちの時代です。

 私たちの活動の力と魅力を評価し、まちの真ん中にぽっかりと空いた大きな空間を、是非、まちの元気の源となるよう活用して頂きたいと申し出て頂けるなら、私たちは活動の拠点を動かし、新たなまちの形成に協力をさせて頂きたいと思います。
 安定的な定住と雇用と人々の交流を、将来に亘って生み出す私たちの活動は、きっとこれから50年間、新しいまちの元気と活力を生み出します。
 このことを実証するために、私たちは今「くにうみビレッジ」の建設を進め、「万寿の家」の移転に取り組んでいます。
 私たちはこれからも、宵越しの土地を持たず、私たちの活動に期待して下さる場所で、誇り高く、元気に活動していきたいと思います。

 現在、私たちは、新たな「経営計画」を策定中です。この中に、私たちが思い描くこれからの物語を書き込んでいかなければいけません。
 今日は、「施設の整備」について書きましたが、「事業の展開」「人材の育成」「経営の安定」などについて、このメッセージの中にも、皆さんの物語を、是非書き込んで頂きたいと思います。



赤穂精華園やまびこ寮竣工記念式典 あいさつ(平成30年4月24日)

 理事長の山本です。
 赤穂精華園やまびこ寮の竣工記念式典に、ご出席賜りましてありがとうございます。

 「やまびこ寮」の竣工をこうして迎えられたのは、いつも、お世話になっております明石市長、盛先生をはじめ、国会、県会、市議会の先生方、県・市の方々、設計・施工事業者、地元の方々、利用者・保護者の方々など、皆様のご尽力の賜です。厚く御礼を申し上げます。

 ちょうど5年前の平成25年4月24日ここ赤穂精華園の児童寮の竣工記念式典がありました。
 私は西播磨県民局長に着任して間もなくでした。出席をさせて頂き、記念のテープカットをさせて頂きました。今日また、立場を替えて、この場に立てることを、大変うれしく存じます。

 この「やまびこ寮」以前は「授産寮」と呼んでおりましたが、昭和49年の建設で42年が経過していました。老朽化もさることながら、4人部屋では手狭でありましたので、平屋から2階建てにし、定員をそのままにしたままで、延べ床面積を1.8倍にして全室個室としました。また一人暮らしを体験できる「自活訓練室」を新たに作りました。
 また、この整備を機に、名称も、お向かいの山から名前を頂き、いつも利用者の元気な声が響くよう「やまびこ寮」といたしました。
 整備中は、地元住民の方々に、また利用者の方々にも、大変ご迷惑をおかけしましたが、ご理解賜りご協力頂きありがとうございました。

 私たちは、職員が閲覧できる「掲示板」において毎月、施設長さんや私たち役員が事業団職員に語りかける「メッセージ」を発信しています。
 この中で、深谷園長は「環境に合わせて変えるべきところは素早く切り替え、そして変化に目を奪われるだけでなく、変わらないもの、大切にしたいことをメンバーや組織でしっかり見極めながら「変わること・変わらないこと」に取り組んでいきたい」と発信しました。
 今回の整備を機に、更に支援の専門性を高め、引き続き質の高いサービスを提供してまいります。同時に、皆さん方の状況の変化にも、しっかりと反応していくつもりです。

 「変わらない」質の向上への努力として、職員からの提案を受け、赤穂精華園において、言葉でのコミュニケーションが難しい場合の手法であります「マカトン法とマカトンサイン」について研究し実践していきます。
 また、高齢者、障害者、こども等、福祉、医療の幅広い分野をカバーする事業団の「強み」を活かしたサービスの向上をめざし、障害者施設の職員を高齢者施設に派遣する現任訓練を始めるほか、児童関係施設の職員の実践研修・交流会を開催することにしています。
 さらに、近隣にございます関西福祉大学のサテライトゼミを赤穂精華園で開催し、人材の育成・確保に努めていきたいと思っています。
 また、時代の変化、皆さん方の状況の変化に対応して「変わっていく」ため、グループホームの再編に取り組みます。グループホームは事業団全体で43ヶ所、赤穂精華園だけでも9ヶ所あります。
 赤穂精華園にはグループホームのサテライト型という一人暮らしに近い生活をしている方が2名いらっしゃいます。
 市内の食堂あるいはアース製薬で働いておられて、グループホームのスタッフが、もうすぐ一人暮らしに移られるよう支援しています。

 一方で、グループホームで生活されている方の高齢重度化も進んでいます。そこで、赤穂精華園の近くに高齢重度化に対応できる新しい形のグループホームを整備し、利用者の状況に応じて暮らして頂くところを再編し、その人に合った「くらし」の支援をしていきたいと思っています。
 さらに、ご本人の高齢化が進み、かつご希望される場合には、事業団の特別養護老人ホームに移って頂いたらいいと思っています。
 淡路島に「くにうみの里」という特別養護老人ホームを建設しましたが、ここは、高齢者、障害のある人、子ども達が交流する新たなビレッジとして整備を進めています。
 障害者施設で高齢になられた方にも、ご希望頂ける方で条件が合う方は、「くにうみの里」に入ってもらい、将来的には、「くにうみの里」の中に障害者のユニットをつくりたいと思っています。幸い、事業団の高齢者施設の施設長は、ほとんどが障害者施設での勤務経験もあります。職員も十分に対応できると思っています。
 このように、その人に応じた生活を送って頂けるよう、私たちも「変わっていきたい」と願っています。

 そして、人生の最後も、お許し頂けるなら私たちのもとで過ごして頂きたいと思っています。
 先日、出石精和園にお邪魔しました。その前の日に、長く入所されていた方が園で息を引き取られたと、課長さんが教えてくれました。
 長年過ごされた環境の中で、心配してくれる仲間に囲まれて最後を過ごして頂いてよかったとその課長さんは、私の前で声をあげて泣いてくれました。
 たとえ自分たちが亡くなった後でも、この子のために泣いて見送ってくれる施設だと、信頼頂けるように、「障害者入所施設における「看取り」の提供のための指針」を今年度、事業団をあげて作成し、心を込めて実践してまいります。

 お元気な時からその人の状況に応じて人生の最後のステージまで、ずっとお付き合い頂ける事業団に本当に変わるため、これからも努力を重ねてまいります。

 本日の竣工を機に、「変わらないために変わり続ける」ことを改めて皆さまにお誓い申し上げ、また、皆さまには、私たちに「変わらぬ」ご支援を頂きますようお願い申し上げ、私からの御礼のごあいさつとさせて頂きます。
 本日はまことにありがとうございました。



事業団広報誌「青い鳥」第155号
生産性を上げながら、新しい価値を創ろう(平成30年4月)

 組織を「管理」することは、「経営」することと同じ意味ではありません。
 「経営とは、世の中にとって何か新しい価値を生み出すことであり、管理の目的は、現状を維持すること」と定義される方もいらっしゃいます。
 世の中の人々の年齢構成、人々のありようが、右上りの成長に適していた、恵まれた環境の時代では、「管理」するだけで、業績は右上りになりました。
 「難しいことをしなくても、これまでどおりしていたら上手くいく。」と感じている人が多いかも知れません。過去の成功体験は、時代の変化への対応を鈍らせます。
 人口が減少する中で、支えられる側も支える側も変化しています。今までの事業の取組を続けることだけでは、私たちの活動は徐々にその輝きを失っていくかも知れません。
 「人々の地域でのくらしへの貢献」などを通じて、いかに人々に求められる新しい価値を生み出していくかが大切になります。
 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」という言葉がたびたび聞かれるようになりました。
 2025年に高齢者介護のピークがあるようにも思っておられる方もいらっしゃるかも知れませんが、2025年は介護ニーズが急増するステップ1にすぎません。
 85歳から89歳の1人あたりの年間介護費用は75歳から79歳の4倍くらいになります。
 私たちは、85歳以上の高齢者の数の推移にも注目する必要があります。
 兵庫県の85歳以上の高齢者の数は、2035年から2040年にかけて今の倍近くのボリュームになります。更に大切なことは、今から40年後2060年頃に85歳以上高齢者数のピークがあるということです。
 私たちは間違いなく成長産業の中にいます。
 増え続けるであろう医療・介護ニーズに対応する価値を、限られた人材の中で生み出していくためには、人材の確保とあわせ、生産性を上げるための思い切った取組も大切です。
 ①人々の地域でのくらしへの貢献と②私たちの生産性の向上を、具体的に実現していく経営感覚が今、私たち全員に求められていると思います。
 この「青い鳥」に30年度の「事業計画」を掲載しています。
 みんなで、そんな思いを込めて、つくり上げた新しい「事業(経営)計画」です。次に続く第一歩になると信じています。
 ご一緒に、地域のライフラインとして、頼られる存在となる事業団を目指しましょう。

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兵庫県社会福祉事業団紀要2017年度版巻頭挨拶
この「紀要」の目指すもの

 私たち兵庫県社会福祉事業団は、医療・介護など多くの分野で活動しています。
 私たちは、私たちの活動の多様性という「強み」を活かすことが大切です。
 それぞれの活動の報告をし、成果を披露し、新たな提案を行っていくことは、もちろん、自身の活動の励みになります。 発信することで、自分たちの行ってきたことを振り返り、次のステップへの考察にもつながります。
 同時に、その活動報告を見て、それぞれの分野で参考にし、活用できる発想も多いと思います。
 他の人の発想や活動に乗っかって、自分たちのところでその続きを考え、実践してもいいと思います。
 ちがう分野のことだからと思わず、「自分たちのところに活かせることはないか。」そんな気持ちで読んで頂ければと思います。
 0から1をつくる貴さを知ると、人は失敗に寛容になります。
 この「紀要」を通じて、新しい「価値」をつくる。
この「紀要」の目指すものです。

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事業団広報誌「青い鳥」第154号 私の初夢 (平成30年1月)

 あけましておめでとうございます。
 「まるこ」ともども、戌年の初春のお慶びを申し上げます。
 「少子高齢社会になって大変だ。」と深刻な顔をして、話される人がいますが、議論の中身を聞いていますと、「本当にこの人、「少子高齢社会」の意味がわかって話しているのかな」と思うことがあります。
 あたりまえですが、「少子高齢社会」ということばは、「少子社会」と「高齢社会」の2つの要素からできています。この2つの社会現象は、現れる時期や期間、また、対応策も必ずしも同じではありません。
 私が生まれた頃、日本の人口ピラミッドは本当にピラミッドのような形をしていました。今では、頭でっかちの縄文土器のような形をしています。そして、50年後、頭でっかちの部分がなくなったあと、日本の人口 ピラミッドは筒のような形をしているはずです。
 頭でっかちの高齢者のかたまりが、人生の最終ステージを、誇り高く終える時代を、社会全体で凌ぎ切ること。これが「高齢社会」への対応です。
 そして、これから私たちの国の出生率が向上しなければ50年後の人口ピラミッドは、先細りの筒のようになってしまいます。私たちの民族と文化を後世に継いでいくため、子供を産み育てる環境をさらに整え、 必要な出生率を実現する。これが「少子社会」への対応です。
 私たち事業団も、目の前で直面している高齢化への対応に迫られ、新たな試みにも挑戦して頂いていますが、さらに先を見据え、今後は、少子化への対応にも力を入れていかないといけません。
 そうした努力が重ねられ、50年後、子供から終末期まで、人と地域にずっと寄り添う事業団に成長し、事業団の活動に共鳴して頂いた県下の多くのサポーターの方々と共に、100周年を迎える年に、108歳の私が、祝賀の会場の片隅から拍手を送る。
 これが私の初夢です。
 今年もどうぞよろしくお願いします。



職員へのメッセージ 「10年後」 (平成29年12月)

 山の見え方は、一つではありません。同じ山でも海の側から見た山と、内陸の側から見た山は、やさしい山であったり険しい山に見えたりすることもあります。
 「10年後の施設と事業団」について、施設長とディスカッションをさせていただきました。
 私たちの目指す山は、まずは、しっかりとした経営基盤の上に立って、利用者さん側から見れば「ずっとお付き合い、ご一緒に」、法人運営側から見れば「多様性と連携」の山をめざすのかなあと感じています。
 「ずっとお付き合い、ご一緒に」は、ディマンドサイドの視点です。
 ご高齢の方については、地域で生活されている時からのお付き合い、さらに通い、入所、終末期までの長いお付き合い。障害のある方には、地域での生活、就労、通所、入所、終末期、その人の状態に応じて行ったり来たり離れたりのお付き合い。
 「多様性と連携」は、サプライサイドの視点です。
 幅広い活動は、安定した経営環境の礎となり、他の多くの主体と連携してさらに安定した運営を目指すことができると思います。
 分厚い活動は、職員の新たな挑戦を促し、将来を担う魅力的な社会人の育成にもつながると思います。
 そして、こうした取組を積み重ねることにより、ライフラインのような「地域のインフラ」と評価されることを目指すべきではないかと思います。
 さて、皆さんはどう思われますか。議論は始まったばかりです。
 価値観を共有しながら、よりリアルなビジョンをご一緒につくりあげたいと願っています。



出石精和園開設50周年記念セミナー あいさつ(平成29年9月)

 兵庫県社会福祉事業団 理事長の山本です。
 本日は、出石精和園開設50周年の記念セミナーにお運びいただき、ありがとうございます。
 また、平素より兵庫県社会福祉事業団の活動にご理解ご支援を賜っておりますこと、お礼申し上げます。
 障害のある人が働くことを、地域全体で応援することは、その地域の魅力を高めることにつながると思います。
 今から14年前、厚生労働省から兵庫県庁に戻った私は、障害福祉課長になりました。
 いろいろな試みに挑戦しましたが、県庁で知的障害のある人に働いてもらう試みもしました。
 長谷川くんという男の子に来てもらうことにして、課の庶務を担当する課付の方に「隣に座っていただくので、いろいろ教えてあげてね。」とお願いしたら「私がですか。」と、嫌な顔をしました。
 しかし、とても明るく、楽しい長谷川くんが働いてくれるようになって、部屋の中の様子が変わってきました。
 1つは、職員が名札をつけるようになったのです。
 長谷川くんは、漢字が得意です。覗き込むように名札を見て「山本さん」と呼んでくれます。そのたびに「山本課長」と直します。
 最初に、私がハンコを押した決裁を、部屋のみんなに配る仕事をお願いしました。職員も30人以上で、決裁板の数も相当になります。 長谷川くんは、漢字が得意ですので、座席表を見ながら担当のところに配っていましたが、途中からは、部屋の真ん中の机の上に決裁を積んで「○○さん」と呼んで、取りに来させるようになりました。これは早い。
 それから、長谷川くんは、人が言い合っているのが嫌みたいで、私が部下の職員と議論になると「けんかは、いけませんね。」とあわてて間に入りに来ます。
 元気な長谷川くんですが、ずいぶんプレッシャーもあるみたいで、金曜日の夕方になると、ルンルンしてきます。
 仕事が終わると、窓際の係長の席をまわり、ひとりずつに「○○さん、さようなら。」とあいさつをして回ってから帰ります。2周回って帰るときもあります。
 そうこうしているうちに、気がつくと、職員同士も大きな声であいさつをするようになりました。
 長谷川くんが来て半年、職員は名札をつけて、大きな声であいさつをするようになりました。
 半年たったある日、あんなに嫌な顔をしていた課付の人が「課長、明日、お弁当持ってこないでください。昼食会をしますので。」と言いました。
 長谷川くんは半年の勤務でしたので、最終日に職員が自発的にお別れの昼食会を開いてくれたのです。
 みんなに囲まれて、嬉しそうにお昼を食べている姿を見て、障害のある人と一緒に働くということは、こんなに職場を変えるのだと実感しました。

 しかし現実は、いい話ばかりではありません。
 発達障害のある男の子が、お年寄りの施設に就職しました。少しとんちんかんなことをするときもありますが、笑顔をつくって一生懸命働きます。
 でも施設で働く女の人は、そんな子をいじめて、いじめて、とうとうやめさせてしまいます。
 「こんなこと言うたったら、困った顔しよったわ。」
 得意げに話をして、笑っています。
 やめさせられたことを知った男の子のお母さんが、その子に言います。
 「何で困っている時に言うてくれへんかったん。私はあんたの親なんよ。」
 男の子は、悲しそうに答えます。
 「親やから言われへんねん。怒るやろ。悲しむやろ。ええねん。もう終わったことやから。」
 作り笑顔で何とか障害を乗り越えて働こうとする子がいます。それを笑いものにして、やめさせてしまう人もいます。これも障害者雇用の現実です。

 但馬には、障害のある人を受け入れる、やさしい人情があると思います。
 そして私たちは、出石の街中にも、豊岡の市役所の中にも、村岡にも、障害のある人が働くお店を出させていただいています。おかげさまで繁盛しています。
 やさしい但馬に感謝し、これからも私たちの活動にご支援いただきますことをお願いし、私のあいさつといたします。
 
 ありがとうございました。



職員へのメッセージ 「チェンジ、変わろう」 (平成29年8月)

 古代日本では、言葉には「言霊(ことだま)」という不思議な力が宿っていると信じられており、言葉には、発した言葉どおりの結果を生む力があるとされていました。
 私は、現在でも「言葉が認識を生み、認識がアクションを生み、アクションが変化を生む」と信じています。
 しっかりとした時代認識を語り合い、これからの時代に対応できる変化を生んでいかなければ、私たちは、次の時代の景色を見ることができないのです。
 キツネが獲物を捕える能力を高めたら、ウサギやネズミは速く逃げたり、上手に隠れたりする力を磨かないと滅びかねません。キツネと競ってウサギなどを狙うオオカミだって同じです。 生き物は、たえまない競争を続けることで種を保っています。一見のんびりとした風景の中にも、学ぶべき成功の秘訣はあります。

 人々の高齢化が進み、障害の重度化が進むことに対応して、私たちの活動も、新しい分野に挑戦し、新しいサービスを提供する努力を続けなければなりません。
 介護度の高い在宅の高齢者は、着実に増加します。この方々へのサービスを本格的に展開する必要があります。グループホームで人生の最後を看取ることにも対応していかなければなりません。 障害のある人が、その人らしく働ける分野も開拓しなければいけません。
 この夏、皆さんは、それぞれ、課題を設定したうえで、新たな分野に挑戦して下さい。

 最後にチャールズ・ダーウィンの言葉です。
「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。」
 暑い夏を、熱く過して下さい。



職員へのメッセージ 「ハビタブルな星に」 (平成29年4月)

 皆さんは「ハビタブルな星」という言葉を聞かれたことがありますか。
 太陽系にも寿命があります。10数億年後、もし人類が生存していたら、そしてその時、地球に住めなくなれば、他の星をさがして移住しなければなりません。

 太陽系に最も近い恒星「ケンタウルス座のアルファ星」は4光年先にあります。多くの人材と費用をかけて、探査機の開発が行われるのは、人類が生き残れる道が他にないからです。

 何の話をしているかと言いますと、私たちの発想には2つの「クセ」があるということです。
 その発想の「クセ」が現実の意思決定と最適な意思決定の間の「ずれ」を生んでいるのです。

 「クセ」の1つは、現実性のバイアス(偏り)です。
 人は、遠い将来の利益より近い将来の利益を優先させます。私たちは、今すぐ手に入る利益を非常に重視します。
 もう1つの「クセ」は確実性のバイアス(偏り)です。
 100%確実な場合と1%でもリスクがある場合とでは、通常のリスク回避だけでは説明がつかないほど認知に隔たりがあります。私たちは、わずかなリスクを嫌い、チャンスを見逃します。

 先ほどの例を見るまでもなく、先を見通しリスクを回避しながら挑戦していかなければ、これからの社会を乗り越え、 少なくとも、今と同じくらいの幸せを感じることのできる社会を子や孫に残していくことができないと思います。
 その責任は今を生きる私たち全員にあると思いますが、とりわけ私たちは、今の、そして未来の人たちの幸せのために、大きな役割が果たせるのではないかと思います。
 ご一緒に、頑張りましょう。



事業団広報誌「青い鳥」 就任のごあいさつ (平成29年4月)

 理事長に就任しました山本です。どうぞよろしくお願いします。

「前向きに、明るく、逃げずに」と新規採用職員の方々にお願いしました。
 私たちは、少し前を見て新しいことに挑戦することが苦手です。誰だって昨日のままの明日の方が安心ですよね。でも、人々のありようが変化している今、そんなことは許されません。
 「ありったけの力で走り続けなければならないのよ。その場に留まっているためには。」
ルイス・キャロルの小説「鏡の国のアリス」で赤の女王がアリスに語りかけた言葉です。

 私たちは、現在私たちのサービスを利用してくださっている方々に、そして、将来利用してくださる方々に、少なくとも今と同じくらいの満足をしていただける サービスを提供し続けるためには、不断の努力、新たな試みを重ねていく必要があります。
 私たちの「めざす」ものは何でしょう。まず、「安全と安心」。そのためには、安定した運営が基本です。その上に立って、将来に亘って人々の「安全と安心」の場を提供することです。

 2つめは、人々の「自信と誇り」を守ることです。「あわじ荘」のめざす「あなたらしさ」の応援です。
西播磨に住んでいた頃、山の中のひとり暮らしのおばあさんに、関西福祉大学の学生が「おばあさんは、何でこんなところに住んでいるの」と聞いたそうです。 そのときのおばあさんの答えは「ここが私のお城だからよ」だったと聞きました。人々の誇り高い暮らしを守ることが私たちのミッションだと思います。

 3つめは、私たちの活動で「地域の元気」をつくることです。医療・福祉の人材が足りませんが、逆に見れば、私たちの活動は地域の雇用と活力を生んでいるのです。
 夢のような福祉の国の話は、この国の話ではありません。幸せの「青い鳥」は、どこか遠くの国にあるのではなく、私たちの目の前の不完全な現実の中にしかありません。
 そして、その現実の中からみんなで力を合わせて創っていくものだと思います。
 ご一緒に頑張りましょう。

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