B:過眠型睡眠障害

乳・幼児期の子どもたちの睡眠障害が、
意欲・学力低下を招きます。
睡眠改善により健全な状態に。

B:過眠型睡眠障害:不登校状態

子どもたちの中では「慢性的な睡眠不足(欠乏)状態」からの移行が一般的で、さまざまな理由から夜更かし生活による睡眠時間短縮(睡眠不足)「ISS生活」を続けた結果として出現します。それまで、短い睡眠時間で頑張りながら何とか学校社会生活を続けていた子どもたちが緩やかに、時には突然、朝起きあがることができなくなります。その状態では、日中活動での効率、集中力、および記憶力が著しく低下してしまいます。

現代で特徴的な過眠状態は概日リズム睡眠障害に分類される「睡眠相後退症候群」と呼ばれるもの(10時間睡眠)が多くを占め、時に「非24時間型」と呼ばれ、入眠時間が少しずつずれて遅くなるタイプ、あるいは、どの時間帯に眠っているのか特定できないバラバラで不規則な「不規則型」が見られます。不登校状態の80%にこのような睡眠リズム異常が認められ日常学校社会生活を不可能にします。不登校の主な原因となります。 ここでも、ご本人は「私は不登校なんかじゃない!」と考えています。

1)睡眠相後退症候群

最も多い「睡眠相後退症候群」の特徴を示します。

  • 夕方から夜にかけて目が冴え、0時前には眠れず入眠が午前0〜2時以降になるため昼夜逆転傾向となる。
  • 一度、寝付くと中途覚醒はほとんど無く10時間あるいはそれより長く眠る。
  • 社会の活動開始時間に起床できない。自然に目が覚めるのは昼ごろとなり、遅刻・欠席・欠勤状態となる。
  • 長時間睡眠にもかかわらず睡眠質低下に伴う日中の眠気、頭痛、倦怠感、食欲不振・増加が見られる。
  • 勉強・仕事に集中できない。
  • 慢性化し、学業・仕事を続けることができない。
  • うつ状態が現れる。
  • 日本だけでなく世界的な問題で不登校(ひきこもり)の主原因。
  • 治療が極めて困難である。

等の特徴を持っており、高照度光治療など特殊な治療が必要なことが多くなります。

この状態が起こる前には子どもたちのほとんどが睡眠の質の低下や睡眠時間を削る頑張りの生活暦(睡眠欠乏)を送っています。
昼夜逆転傾向を持つこの長時間睡眠は、慢性的な睡眠欠乏により脳の働きが保てなくて疲れ果ててしまった結果であって、原因ではありません。

小児慢性疲労症候群

どのタイプであれ、過眠型睡眠障害が出現した状態では、当然学校社会生活が障害を受け不登校状態となります。更に、その約半数以上が「小児慢性疲労症候群=Childhood Chronic Fatigue Syndrome」の国際診断基準に当てはまる状態となります。残りの40%は「小児慢性疲労症候群様」あるいは「非定形的小児慢性疲労症候群」と診断されますので不登校状態はほぼ全員が「小児慢性疲労症候群」状態ということがわかります。どのように元気そうに見えても日常生活は不可能な状態です。健康状態ではありえないのです。勝手に「こころの問題」などと素人診断せずご相談ください。

「小児慢性疲労症候群」の診断基準

次に、2007年1月にアメリカ(フロリダ)で開かれた国際慢性疲労症候群学会で承認された「小児慢性疲労症候群」の診断基準をお示しします。(表1
CCFSは、中枢性の疲労状態と考えられます。疲労・疲労感を中心として主症状は五つです。1)疲労、2)睡眠問題、3)疼痛、4)神経認知問題、5)自律神経症状・神経内分泌症状・免疫系症状。不可解な病態から日常社会生活が長年にわたり障害され、本人のみならず家族を巻き込む大きな社会問題となってしまいます。

国際慢性疲労症候群学会
(小児部門小委員会による小児慢性疲労症候群国際診断基準 2007、米国フロリダ)
ME : Myalgic encephalomyelitis(筋痛性脳脊髄炎)
CFS : Chronic Fatigue Syndrome(慢性疲労症候群)

  • 少なくとも3か月以上、睡眠や休養によっても改善しない疲労状態が続くため、日常生活が50%以上障害される。
  • 甲状腺機能障害や血液の病気、感染症など一般的な医学的検査により異常が見出せない。
  • 以下のような5項目にわたる症状があり、
    程度はまったく問題ない、を(1)として中程度(4)、重度を最高(7)として評価し(4)以上であること。
表1
症状
. Fatigue 疲労 強い疲労・疲労感、極端なだるさ、食欲低下、手掌発汗
. ME/CFS 古典的症状 a.労作後疲労 身体的・精神的活動のあとの気分・体調の悪化。
特に激しいということではなく階段を上る、コンピュータを使う、本を読むなどの行為の後の身体・認知力疲労。
回復が遅くしばしば24時間以上を要する。
b.睡眠 (少なくとも以下の中の一つの症状)
疲労が回復しない睡眠、過眠型睡眠、睡眠朝起床後の疲労感、
毎日居眠りする、寝付けない、眠り続ける、
朝早くに目が覚める、昼夜逆転、中途覚醒。
c.疼痛 (少なくとも一つの症状)
筋(筋膜)痛、腫脹のない関節痛、腹痛、胸部痛、眼痛、吐き気・嘔吐
d.認知機能 (少なくとも二つの症状)
記憶障害、集中力低下、的確な言葉が出てこない、理解が悪い、思考の鈍磨、関心のなさ、一つのことしかできない、物忘れ
e.他の症状

次の3項目中の2項目から少なくとも1つの症状が存在する。

自律神経症状
起立位での不安定、息切れ、めまい、心拍不整、起立性血圧の問題、動悸
神経内分泌症状
熱感と四肢冷感、微熱、体重の増減、食欲不振手掌発汗、暑さ・寒さへの耐性低下、低体温、ストレスによる症状の悪化。
免疫症状
炎症を伴わない咽の痛み、警部リンパ節腫脹と痛み、繰り返す発熱やインフルエンザ様症状、食べ物・化学物質への過敏性

CCFS診断基準

  1. 小児慢性疲労症候群(すべての基準を満たす症例)
  2. 小児慢性疲労症候群様の疾患(すべての古典的症状を満たすが3か月に満たない)
  3. 非定形的小児慢性疲労症候群(古典的症状に1つ以上足りないが3か月以上持続している)
  4. 他の疾患

C:その他の過眠型睡眠障害

1:稀ですがクライネ・レヴィン症候群と呼ばれる反復性原発性過眠症があり、一日18〜20時間も眠ることがあります。

2:ナルコレプシーは比較的稀ですが、抵抗できない睡眠発作が現れます。オレキシンという物質の欠乏であることが明らかになっています。

  1. 睡眠発作(日中突然に強い眠気発作が出現する)
  2. 情動脱力発作と呼ばれる全身にわたる脱力発作が笑い、喜びなどの感情の高ぶりに伴って見られる
  3. 入眠時幻覚
  4. 睡眠時の麻痺

などの特徴のある症状が認められます。しかし、トータルの睡眠時間は健常人とあまり変わらないこともあり過眠とはいえないかもしれません。

3:長時間睡眠者は、元来もって生まれた睡眠時間が長い人を指しており障害とはいえないでしょう。