A:睡眠不足症候群

乳・幼児期の子どもたちの睡眠障害が、
意欲・学力低下を招きます。
睡眠改善により健全な状態に。

A:睡眠不足症候群

「睡眠時間の絶対的な不足:睡眠欠乏」が問題です。

乳幼児期の睡眠障害の中にもあったように「しばしば目が覚めてしまい睡眠が分断される:断眠(眠りのコマ切れ状態です)」状態も睡眠欠乏と同様の効果を現すと考えられています。特に睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)やアレルギー性鼻炎・アトピー・喘息をもつ子どもたちは夜間睡眠時の中途覚醒や断眠機会が多く、この状態になりやすいと考える必要があります。

「睡眠不足症候群ISS」をもたらす背景

1)アトピー・アレルギー性鼻炎・喘息と睡眠障害

アトピーを持っている子どもさんは睡眠障害を抱えていると考えておく必要があります。

体のかゆみと体内に増えるサイトカインという物質が眠りを妨げるからです。アトピーのコントロールは子どもさんの成長に重要な要素なのです。またアトピーは「アトピック・マーチ」という言葉で表わされるようにアレルギー性鼻炎や喘息との繋がりが強いことが知られています。
睡眠時無呼吸症候群は、大人に多い睡眠障害ですが、小児においても鼻炎や扁桃肥大により、呼吸道がふさがれて同じような状態が生じると考えられています。

2)夜型生活習慣と睡眠不足

それだけではなく、日頃の生活習慣がこの睡眠障害をもたらすことがよく分かってきました。本を読んでいて、テレビを見ていて、ゲームをしていて、携帯で友人と話していて、インターネットしていて、など様々な日常生活における行動により遅くまで起きている人々が慢性的な睡眠欠乏状態となり、1)日中の眠気が強い、2)集中力が低下してきた、3)友人間などのコミュニケーションがうまくいかなくなる(イライラ感や集中力低下により)、4)作業能率が落ちる(勉強が手につかない)、5)自律神経機能にも障害が出現し、頭痛・腹痛をはじめとした不定愁訴が出現しますし、6)交通事故に遭いやすくなる、などなど「ボンヤリしてしまう」ために問題が生じる状態を「Behaviorally Induced Insufficient Sleep Syndrome=BIISSまたはISS」(睡眠不足症候群)とよび、20年ほど前から新しい睡眠障害として注目されるようになりました。

若い世代にもこの問題は浸透してきました。日本の子どもたちの睡眠時間は世界一短くなっています。乳幼児期からの夜型生活習慣が身についてしまいますと、早い時期から社会生活に影響が現れ、保育所・幼稚園における登園拒否と呼ばれるような問題が現れます。心身の活動開始準備が朝には整わず、時間がずれて遅れてしまうために、登園時間には体調が整わず、心身の混乱状態のまま朝を迎えるため「行き渋り」が現れ、実際に登園できなくなってしまいます。乳幼児期には「早寝早起き型生活習慣」を身につけていても、現代社会では、小学3〜4年生頃から夜型生活への移行が明確になります。特に中学受験を控えた高学年生や、ゲーム、マンガ、テレビ、携帯電話、インターネットなどのグローバル化した夜型生活習慣を身に付けた子どもたちには入眠時間のシフトが起こります。日本では、夜中の0時を過ぎて入眠する子どもたちが、3歳:20%、14歳:60〜70%にも及びます。朝起き時間が遅くならない限り当然睡眠欠乏状態が慢性化します。

睡眠不足が慢性化すると「睡眠不足症候群」をもたらし、さらに重症化すると、逆に「過眠型睡眠障害」となり日常生活が壊されてしまい学校どころではなくなって不登校状態に至ります。不登校は「こころの問題」などと簡単に片づけられない中枢神経の疲労状態です。睡眠時間が長いのは睡眠時間が短いことや、睡眠中にしばしば目を覚ますことなどと同様に大きな問題が潜んでいます。

明らかに生活リズムが問題だと周囲の人たちが心配しても、ご本人は睡眠障害に全く気がついていないことが多いので、以下のような問題があれば睡眠障害を考えてみる必要があります。

  1. 夜間睡眠中に何度も目を覚ます(乳幼児を含めて)
  2. 強く鼾をかく
  3. 日中不機嫌でイライラしている
  4. 良く泣く
  5. 保育所や幼稚園に行きたがらない
  6. 頭痛や腹痛が多い
  7. 一日中眠気を訴える
  8. 朝起きて学校に行くまでにぐずぐずと時間がかかる(行き渋り)
  9. 土曜・日曜日・休日はお昼まで寝ている
  10. 成績や部活の伸びが止まってしまった、あるいは急激に伸びた(頑張っている)
  11. 朝起きることができず学校に行けなくなった(多くは別ページの過眠型睡眠障害に含まれます)

などなど、これがご本人のもって生まれた性格や体質だと決めてしまわずご相談ください。