泌尿器科

泌尿器科は腎臓、膀胱、前立腺などの手術、男性の性機能障害、尿路感染症の治療など様々な分野がありますが、当科ではそのなかで最も多い排尿障害に対する診療を主体としております。

施設認定

  • 日本泌尿器科学会専門医教育施設(拠点教育施設)
  • 日本泌尿器科学会排尿機能検査実施見学推薦施設

施設基準

  • 膀胱水圧拡張術
  • 人工尿道括約筋植込・置換術

スタッフ紹介

氏名 役職 卒業年次 専門医資格など 専門領域
仙石 淳
  • 参事
  • 泌尿器科部長
昭和61年
  • 日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医・指導医
  • 臨床研修指導医
  • 日本排尿機能学会認定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医
  • 排尿障害
  • 神経因性膀胱
  • 脊髄損傷者の性機能障害
乃美 昌司
  • 泌尿器科部長
平成7年
  • 日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医・指導医
  • ICD(インフェクションコントロールドクター)
  • 日本排尿機能学会認定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医
  • 排尿障害
  • 神経因性膀胱
  • 脊髄損傷者の性機能障害
  • 脊髄損傷者の排便機能障害
柳内 章宏
【非常勤】
  • 泌尿器科医長
平成12年
  • 日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医・指導医
  • ICD(インフェクションコントロールドクター)
  • 日本排尿機能学会認定医
  • 排尿障害
  • 神経因性膀胱
  • 脊髄損傷者の性機能障害

排尿障害に対する診療の特徴

神経因性膀胱の患者さんには・・・神経因性膀胱 neurogenic bladder にはその原因となる神経の病気によって典型的なパターンはありますが、神経系の複雑さのために同じ病気でも患者さんによってまったく違ったパターンを示すこともあり、またその程度も様々です。また、膀胱知覚(尿意)が低下するために危険信号を察知できない場合が多く、個々の患者さんについてまず下部尿路(膀胱と尿道)の機能を正しく評価することが必要となります。

前立腺肥大症の患者さんには・・・50歳以上の男性患者さんの排尿障害で最も多い前立腺肥大症は、前立腺による尿道の圧迫程度によって重症度が左右され、治療も(お薬にしろ、手術にしろ)この圧迫(閉塞)を解除することでなされます。しかし、この閉塞(下部尿路閉塞といいます)の程度を客観的に評価できる方法は前立腺の大きさなどではなく、尿流動態検査(urodynamic study;UDS)(次図)における内圧尿流検査(pressure flow study)(次図)しかありません。特に手術に際しては、術後の効果を正しく予測するためにこの下部尿路閉塞の程度と尿を押し出す力である膀胱排尿筋の収縮力を事前に評価しておくことが重要です。

そこで、当科ではこれらの患者さんに、場合によっては膀胱や尿道の下部尿路機能評価法で最も診断能力が高いと云われているビデオウロダイナミクス(次図)も含めた尿流動態検査をおこなうことによって、客観的な評価に基づく適切な尿路管理方法、治療効果の正確な見通しにもとづく前立腺肥大症内視鏡手術やその他の治療方法をお勧めしております(年間尿流動態検査件数とその内訳は次表参照)。

正常の尿流動態検査所見
正常の尿流動態検査所見
内圧尿流検査ノモグラム
内圧尿流検査ノモグラム
ビデオウロダイナミクスの所見
ビデオウロダイナミクスの所見
尿流動態検査URODYNAMICS装置
尿流動態検査URODYNAMICS装置

平成28年度 尿流動態検査件数

疾患分野 検査件数
( )は入院患者内数、〔 〕はH27年度
下部尿路閉塞疾患 98 (3) 〔101〕
脳血管障害、頭部外傷 38 (23) 〔43〕
脊椎変性疾患 47 (10) 〔53〕
脊髄損傷、脊髄梗塞、脊髄腫瘍 55 (29) 〔72〕
神経難病 21 (10) 〔25〕
骨盤内手術、骨盤骨折 21 (1) 〔10〕
脳・髄膜炎、脳腫瘍、脊髄炎、脳性麻痺 11 (5) 〔8〕
骨盤臓器脱、腹圧性尿失禁 9 (0) 〔17〕
二分脊椎 7 (0) 〔6〕
糖尿病 1 (0) 〔3〕
精神疾患、神経症、認知症 8 (0) 〔9〕
過度のトイレ我慢 5 (0) 〔5〕
基礎疾患なし、その他 21 (2) 〔28〕
342 (83) 〔380〕
うち ビデオウロダイナミクス 14 〔11〕
外来患者件数 259 〔277〕
入院患者件数 83 〔103〕

男性脊髄損傷性機能障害に対する診療の特徴

電気刺激射精器(シーガータイプ)
電気刺激射精器(シーガータイプ)

脊髄損傷患者さんは高率に射精ができなくなるので、子供を得るためには精液を何らかの方法で採取して、人工授精(AIH)や顕微授精(ICSI)などの高度生殖技術(ART)に用いる必要があります。したがって、男性側の成否の要因としてはいかに良質の精液を採取するかが問題となります。

射精障害を有する患者さんからの精液採取法としては、陰嚢皮膚と精巣に小切開を入れて精細管から直接精子を取り出す方法(精巣内精子採取術TESE)が一般的ですが、当科では電気刺激射精法(electroejaculation;EE)(次図)をおこなっており、皮膚や精巣に切開を加えることなく脊髄損傷患者さんから9割以上の成功率にて精液を採取することが可能です。

当科での電気刺激射精法により採取された精液は、不妊治療をおこなっているクリニックへ持参して、人工授精や顕微授精などに使用することも可能です。

勃起障害(erectiledysfunction;ED)に対しては、脊髄損傷患者の約75%に有効とされるバイアグラ錠・シアリス錠の処方(自費)や他の方法のアドバイスもおこなっております。

外来

通常の外来診察日は外来勤務表にありますように、月・火・木・金曜日(診察医は月・火曜日は仙石医師、木曜日(午前中)は柳内医師、金曜日は乃美医師)で、水曜日は手術日、木曜日は予約検査日(おもに尿流動態検査を施行)となっております。
特に、ビデオウロダイナミクスを含む尿流動態検査のために木曜日全日を充てていますので(1日7件施行)、他院からの下部尿路機能評価目的のご依頼も随時お受けしております。

女性排尿ケア外来について

中年以降の女性に多くみられる排尿・蓄尿障害として、骨盤底筋群がゆるんでしまうことで、膀胱や尿道が咳・くしゃみなど腹圧がかかる際に過度に移動したり、骨盤内臓器である膀胱や子宮が本来の位置から下がりすぎる膀胱脱(膀胱瘤)や子宮脱をきたすことで、腹圧性尿失禁(尿漏れ)や頻尿・排尿困難などの症状を呈することがあります。これらの疾病は、行動療法や手術により多くの患者さんにおいて治すことができます。

腹圧性尿失禁の手術(テープで尿道を支えるTVT手術)あるいは膀胱脱・子宮脱・直腸脱の根治手術は、当泌尿器科では局所麻酔や腰椎麻酔を基本とし(場合により全身麻酔を追加)、1週間前後の入院でおこなっています。

初診の方は一般の外来と同様、月・火・木・金(いずれも受付は午前8時30分〜午前11時30分)に泌尿器科を受診していただき、必要な検査予定などをたてます。そして、再診時(主に予約検査日)に、患者さんのニーズにあわせて、治療方針を決定致します。

これら尿漏れや排尿障害、膀胱脱などでお悩みの女性の方は、どうぞお気軽に、当泌尿器科を受診ください。専門のスタッフがお待ちしております。

入院

泌尿器科として入院される場合はほとんどが短期手術目的の患者さん(年間手術件数は次表参照)ですが、脊髄損傷患者さんなどで間欠自己導尿をマスターするために外来だけでは困難な場合には、脊損病棟(4東)に入院していただき、導尿の手技のみならず、前後の準備・後片付けまで看護師からの指導を受けてもらうことも可能です。

平成28年度 泌尿器科手術件数
手術 対象疾患 手術件数
( )はH27年度
下部尿路閉塞性疾患
内視鏡手術
前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症、尿道狭窄症など 68 (63)
膀胱瘻造設術 神経因性膀胱 14 (13)
膀胱結石内視鏡手術 膀胱結石 12 (15)
膀胱水圧拡張術 間質性膀胱炎 3 (2)
膀胱粘膜生検 膀胱癌の疑い 2 (2)
膀胱腫瘍内視鏡手術 膀胱腫瘍 2 (0)
血塊除去・凝固止血術 膀胱タンポナーデ 1 (5)
内視鏡的逆流防止手術
(Deflux注入)
膀胱尿管逆流症 1 (2)
尿道形成術 尿道狭窄・尿道下裂 2 (0)
人工尿道括約筋埋込術
(AMS-800)
不全尿道 3 (2)
陰嚢水腫根治術 陰嚢水腫 1 (0)
膣前壁縫縮術 膀胱瘤(脱) 3 (5)
膣後壁縫縮+骨盤底形成術 直腸瘤(脱) 1 (4)
包茎環状切除術 包茎 5 (2)
ボトックス膀胱壁内注入術 神経因性排尿筋過活動 1 (0)
精管結紮術 精巣上体炎 1 (1)
前立腺生検 前立腺癌の疑い 14 (11)
その他 2 (2)
136 (133)

トピックス

人工尿道括約筋埋込術が保険診療に

昨年度より人工尿道括約筋(AMS800)埋込術が保険診療にて実施可能となりました。前立腺癌の手術などによる不全尿道のために多量の尿失禁でお悩みの患者さんに有効な治療法です。当院でも昨年より実施しておりますので、ご希望の患者さんがおられましたら、現在かかっておられる(泌尿器科)医師にご相談のうえ、当科に受診してください。

AMS800

延長チューブつきセルフカテーテル(セルフカテEX)

セルフカテEX

延長チューブつきセルフカテーテルは手指機能が制限された頚髄損傷患者さんでも自立で外出時などでの清潔間欠導尿法(clean intermittent catheterisation;CIC)が出来るようにと当院の作業療法部で考案され(細谷1989)、これまで必要な患者さんには同療法部にて改造・作製しておりましたが、この度、当院の作業療法部と(株)富士システムズ社との共同開発により、セルフカテEXとして製品化されました。
写真のように付属の延長チューブ(約105cm)を適当な長さに切ってキャップに接続するだけで使用できます。キャップの形状などは以前から当院で作成していたものと同様であり、使い勝手は変わりません。
カテーテルのサイズは12Frと15Frの外径に各28cmと33cmの長さの計4種類があります。
これによって、今受診中の病院や診療所から注文さえしてもらえれば、日本中のどの地域でもこの延長チューブつきセルフカテーテル(セルフカテEX)を入手できるようになったわけです。

頸髄損傷患者さんでも、間欠式バルンカテーテル(DIB社製)のつけはずしが可能に

特に頸髄損傷患者さんにとって外出時や夜間に有用な間欠式バルンカテーテルですが、手指機能が制限された頸髄損傷患者さんにとってバルンカフの操作が困難なことが欠点でした。
そこで当センター作業療法部(OT)では、注射器を改造したバルンカフ注入器を考案し、すでに多くの頚損患者さんで使用されています。
希望される場合には泌尿器科よりOTへ改造を依頼しますので、当科受診時にお申し出ください。

泌尿器科 業績